WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.12
2016年09月号掲載
vol.12 新作「Quest」について考える
隔月更新となると2ヶ月の間に本当に色んな事がある。
バンド史上最長となるワンマンツアーも無事に終わり、とどまる事なく2度目の台湾、そして各地夏フェスと出演を重ね、先月半ばには新作となるミニアルバム「Quest」が発売になった。もう月が変わり、このコラムが読まれる頃には作品に対する反応も返ってきている事と思うが、こうして作品を作り終えてみて感じる事、それはこの作品が今までリリースした作品の中で一番聴き手の刷り込み要素の高い作品になったという事である。
昔から僕らの作品にはスルメ的な要素があると言われてきた。それは発せられる言葉が意味を持たない事によって、全体がある種浮遊感に満ちたような、危うさにも似たその一見のアンバランスさが魅力のひとつであったからで、それを噛んで味わって聴き手が自由に想像を広げる事で言わば完結する意味を見出していた。聴き手に結末を委ねているので、まさに音楽性自体には白黒はつかないホワイトでアッシュなグレーゾーンの美学なのだろうと思っている。
言葉自体をもひとつの音として、滑らかな発語感そのものを衝動的にパッケージングしてきたのは、僕らが元来洋楽を好み、歌う言葉の意味ではなく、言葉という音が乗るメロディを主に聴いていたからに他ならず、その憧憬心みたいなものを僕らなりの形で表現したかったからなのであるが、一転して今作は全体を通して英語でも日本語でも意味の通る言葉を選んでいるし、構成においてもここまで音を整理し、極限までシンプルにする事は今までになかった。サビの繰り返しなどもそう。勿論タイアップアルバムであるというところの間口の広げ方はあるが、いかにして聴き手に伝わりやすくするかをそれまでのライブやツアー時期と重なった事で感じ得たのが僕自身とても大きい。
簡単な予習ではなかなか掴めない部分があるからこそ、一見のライブよりも作品に価値を見出す可能性をはらむ。ライブで多くの人の心を掴む為には、一瞬の熱量に加え、一聴してスッと耳に入る、刷り込む力の高い楽曲を作品に見出す必要性を感じていた。それは僕らが今までのやり方を捨てたのではなくて、単純により多くの人の耳に届く作品を作りたい、作らねばならないとライブで得た衝動であって、現にレコーディングの手法やサウンドに関しても前作「SPADE 3」の制作と少し重なる時期があった事や、そこでの経験値を元にしている事で大きく変わってはいないし、僕自身そこのバランスには細心の注意を払ったつもりだ。
こうして曲を客観的に聴いてみても、歌詞の言葉の世界観は、意味があれどそこに人間性を内包したり、細かく断定してはおらず、あくまでグレーな部分は残し聴き手に想像を委ねている。ただ単純に意味のある言葉を選び、僕ららしく伝える事を意識し音を整理するだけで、今まで以上にボーカルが耳元から頭の中にスッと抜けていく感じがあって、そのボーカルに呼応するようにアンサンブルが出来上がり、"Drop"などはまさにそれで、歌詞先行だからこそまた新しい僕らの世界観を提示出来た作品になっている。
変わらない事での一種、安心も知っているし、ロックバンドとして変わり続ける意志も僕らには当然ある。より高い、より大きなフィールドを目指す為に、そこのバランスの中にありながら、常に期待値を超えた作品を今後も作り続けたいと思っていて、今まさに僕らはバンドという"冒険"の真っ只中なのかもしれない。
Related Column
- 2017.03.22 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」最終回
- 2017.01.24 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.14
- 2016.11.21 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.13
- 2016.09.23 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.12
- 2016.07.17 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.11
- 2016.05.23 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.10
- 2016.03.19 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.9
- 2016.01.18 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.8
- 2015.11.22 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.7
- 2015.09.27 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.6
- 2015.07.20 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.5
- 2015.05.18 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.4
- 2015.03.17 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.3
- 2015.01.14 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.2
- 2014.11.17 Updated
- WHITE ASH 剛の「音楽通になりたい」vol.1
- 2014.09.10 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第6回】
- 2014.07.07 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第5回】
- 2014.05.05 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第4回】
- 2014.03.14 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第3回】
- 2014.01.09 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第2回】
- 2013.11.06 Updated
- WHITE ASHの「THE WHITE ASH PLACE」【第1回】
LIVE INFO
- 2024.05.01
-
I Don't Like Mondays.
神はサイコロを振らない
ハンブレッダーズ
忘れらんねえよ
Rhythmic Toy World
アカシック
GRAPEVINE × Hedigan's
- 2024.05.02
-
サカナクション
君島大空
Novelbright
神はサイコロを振らない
ゆいにしお
Maki
- 2024.05.03
-
I Don't Like Mondays.
サカナクション
古墳シスターズ
フレデリック / 04LimitedSazabys / キュウソネコカミ / BLUEENCOUNT ほか
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 弐ノ名 ほか
忘れらんねえよ
"JAPAN JAM 2024"
清 竜人
ザ・クロマニヨンズ
VIVA LA ROCK
RAY
いきものがかり
- 2024.05.04
-
Machico
KiSS KiSS
ExWHYZ
"OTODAMA'24~音泉魂~"
ビッケブランカ
KEYTALK / THE BACK HORN / THE BAWDIES / FLOW ほか
SCANDAL
岸田教団&THE明星ロケッツ
フィロソフィーのダンス
ドレスコーズ / 特撮 / 小林私 / 月蝕會議 ほか
halca
"JAPAN JAM 2024"
ずっと真夜中でいいのに。
VIVA LA ROCK
- 2024.05.05
-
go!go!vanillas
I Don't Like Mondays.
古墳シスターズ
ExWHYZ
愛はズボーン
Machico
"OTODAMA'24~音泉魂~"
ザ・クロマニヨンズ
ユプシロン
ASP
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 星歴13夜 ほか
JYOCHO
SEKAI NO OWARI
"JAPAN JAM 2024"
BiS
ずっと真夜中でいいのに。
VIVA LA ROCK
- 2024.05.06
-
I Don't Like Mondays.
愛はズボーン
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
小山田壮平
ヒトリエ
挫・人間
ぜんぶ君のせいだ。
SHAKALABBITS
夜の本気ダンス
SEKAI NO OWARI
ヤングスキニー
SCANDAL
かりんちょ落書き
VIVA LA ROCK
- 2024.05.08
-
礼賛
I Don't Like Mondays.
WANIMA
MOROHA
KALMA
Ryu Matsuyama
神はサイコロを振らない
cadode
- 2024.05.09
-
I Don't Like Mondays.
超能力戦士ドリアン
礼賛
アカシック
センチミリメンタル
ZAZEN BOYS
ハンブレッダーズ
白昼堂々踊レ人類
神聖かまってちゃん
神はサイコロを振らない
- 2024.05.10
-
夜の本気ダンス
超能力戦士ドリアン
Creepy Nuts
BREIMEN
フレンズ
Base Ball Bear
WANIMA
AIRFLIP
Tempalay
KALMA
ACIDMAN
ヤユヨ
渡會将士
崎山蒼志
Novelbright
a flood of circle
ZAZEN BOYS
四星球
感覚ピエロ
tricot
the dadadadys
LEGO BIG MORL
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
- 2024.05.11
-
愛はズボーン
SEKAI NO OWARI
LONGMAN
夜の本気ダンス
Tempalay
ヤユヨ
小山田壮平
KALMA
ハンブレッダーズ
TK from 凛として時雨
フルカワユタカ(DOPING PANDA)× 荒井岳史(the band apart)
ASP
ASH DA HERO
FINLANDS
Base Ball Bear
ぜんぶ君のせいだ。
tacica
SCANDAL
ヤバイTシャツ屋さん
"OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2024"
ExWHYZ
センチミリメンタル
ハシリコミーズ
The Ravens
a flood of circle
People In The Box
SAKANAMON
ザ・クロマニヨンズ
Rhythmic Toy World
白昼堂々踊レ人類
THE BAWDIES
ネクライトーキー
Amber's
"SWEET LOVE SHOWER SPRING 2024"
THE BOYS&GIRLS
ホリエアツシ(ストレイテナー)/ 田島貴男 / とまとくらぶ ほか
- 2024.05.12
-
愛はズボーン
私立恵比寿中学
SEKAI NO OWARI
LONGMAN
TK from 凛として時雨
WANIMA
ASP
The Ravens
SCANDAL
岡崎体育
ヤバイTシャツ屋さん
"OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2024"
KiSS KiSS
THE BAWDIES
the quiet room
FES☆TIVE
tacica
ヒトリエ
フラワーカンパニーズ
SAKANAMON
ザ・クロマニヨンズ
フルカワユタカ(DOPING PANDA)× 荒井岳史(the band apart)
MYTH & ROID
AIRFLIP
メメタァ
BiS
ネクライトーキー
ゆいにしお
"SWEET LOVE SHOWER SPRING 2024"
BIGMAMA
井上竜馬(SHE'S)✕藤井怜央(Omoinotake)/ Jane Jade(藤原さくら✕優河)ほか
- 2024.05.13
-
WANIMA
- 2024.05.15
-
BLUE ENCOUNT
WANIMA
神はサイコロを振らない
倉品 翔(GOOD BYE APRIL)
the paddles × Mercy Woodpecker
打首獄門同好会
yama
Dear Chambers
- 2024.05.16
-
BLUE ENCOUNT
The Ravens
SCANDAL
Mellow Youth
moon drop
RELEASE INFO
- 2024.05.01
- 2024.05.02
- 2024.05.03
- 2024.05.04
- 2024.05.05
- 2024.05.06
- 2024.05.07
- 2024.05.08
- 2024.05.09
- 2024.05.10
- 2024.05.15
- 2024.05.17
- 2024.05.22
- 2024.05.24
- 2024.05.29
- 2024.05.31
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
BREIMEN
Skream! 2024年04月号